ファーストキス
[第8話]
08/27放送

ライブにでかけた美緒と秋生(平岡祐太)は、夜景の見える場所でお互いの気持ちを確認し合っていた。そのとき秋生の携帯電話に、白鷺大学付属病院から緊急連絡が入っていることには気づかなかった。
美緒は9月中にはアメリカに戻って入院しなければならない。次のデートは美緒の好きなところどこでも連れていってあげると秋生は約束する。

その頃、病院では、蓮子(松雪泰子)が緊急オペを担当した少女の容態が急変し、その救命処置に追われていた。その場所に秋生がいないことを知った青木教授(柴俊夫)は、蓮子にその理由を尋ねたが、蓮子は、それには答えず、「全力を尽くして必ず患者を救います」とだけ行って、ICUに向かった。

同じ頃、家に戻った和樹(伊藤英明)は、一流(劇団ひとり)とはるな(酒井若菜)から、美緒の病気のことを聞かれた。一流たちは、美緒の病気が実は深刻なのではないかと勝(阿部サダヲ)から聞き、心配したのだ。「カズがちゃんと説明しないからだよ」とはるなに言われた和樹は、真実を話すか一瞬迷うが、やっかいな病気ではあるが、薬を飲んでいれば問題ない、と答える。
では、なぜ蓮子と長々と話をしていたのかと聞かれ、秋生と付き合うことを反対されたことを打ち明ける。このままでは秋生に迷惑がかかるのではないかと。

携帯電話の着信記録に気づいた秋生は、蓮子に電話を入れる。病院での出来事を知った秋生は、美緒に心配をかけないよう気遣いながら、次の時に「最強のデート」をする約束をし、急いで病院に戻った。

翌日、美緒は次のデートの場所を決めるため、雑誌を繰っていた。そして、ロサンゼルスにいる母・りえ子(夏木マリ)に電話し、手術の予定を遅らせられないかを尋ねた。しかし、りえ子は、病院の都合もあるのだから勝手なことはできない、と答えた。美緒は残念ながらも納得する。

電話を切った美緒の部屋に和樹が入ってきた。和樹は、昨日の秋生とのデートが気になって仕方がない。と、美緒は、和樹にパリ行きの話を切り出し、和樹が奇跡的にいい写真を撮って、パリに行くことになっても自分は平気だ、と言い残し、「最強のデート」のため、他の人がどんなふうにデートをしているのか偵察に出かける。
ふたりの会話を聞いていた一流と勝も、1カ月がそこらなら、美緒の面倒は自分たちが見るからせっかくのチャンスを逃すな、と和樹を叱咤する。それでも煮え切らない和樹に、勝は「一生アシスタントでいいのか? なんで必死でチャンスをつかもうとしないんだ!」というが、和樹は美緒のことが放っておけないというのだった。

秋生は、青木から昨夜のことを咎められていた。と、そこに蓮子が入ってきて、「指導医の私からお話しします」という。さらに、青木は、美緒との交際を続けるのなら医学部から出て行ってもらうと告げた。極端ではなくこれは当然のことだといい、部屋を出ていった。
そんな秋生の元に、和樹が訪ねてきた。和樹は、美緒と秋生の交際には賛成できない、という蓮子の言葉をきき、病院内で和樹の立場が危うくなっているのではないかと心配したのだ。しかし、秋生は「ご心配なく」と答える。
和樹は目の前に仕事の大きなチャンスがあるが、美緒のこともあるけれど、挑戦したい気持ちもすてられなくて、どうするべきか迷っていることも打ち明ける。だからこそ、秋生の気持ちはわかると。すると秋生は、自分には遠慮する必要はないから挑戦してほしい、ときっぱり言う。そして、美緒との交際が原因で、白鷺大学付属病院を追われることになっても病院はここだけではない。今回のことでは美緒と別れるつもりはないので、美緒には言わないでくださいと和樹に言った。

美緒は、「最強のデート」に向けて、何かいいアイデアがないかアドバイスを求めようと、はるなを訪ねた。「どこだっていいじゃん、2人なら」とはるなは言うが、「よくない! あと何回かしか会えないんだから」と美緒は寂しげに言う。しかし、ロスに帰ることも遅らせることができないという美緒を見て、はるなは美緒の病気が深刻な状況であることを察する。が、そのことには触れずに、「最強のデートコースなんてあるわけない。大事なのはどこに行くかではなく、ふたりが楽しいかどうかだ」とアドバイスする。そして、「一緒に花火がしたい」という美緒の買い物につきあった。

そしてまた和樹は蓮子と会っていた。さっき、秋生に会ったこと、美緒に秋生を諦めるように言うと蓮子に告げる和樹。そして、「先生も美緒の主治医としてそっちの方がいいとお考えなんですよね?」と同意を求めると、蓮子は「はい」と力強く言った。


買って来た花火のことで、美緒が勝や一流と騒いでいるところに、和樹が帰ってきた。美緒の嬉しそうな姿を見た和樹は、「パリ行きの写真、花火でとる。美緒、モデルになれ」と命令した。そして、勝たちには「今日だけは部外者立ち入り禁止で」と小声でお願いした。

その頃、病院では、蓮子が秋生が「あなたは心臓外科になりたかったんじゃないの?」と聞く。すると秋生は「将来を押し付けるようなやり方には反発を感じる」と答えた。そんな彼に蓮子は、「彼女はもうあなたには会わないわ。だから、彼女に連絡するのはやめなさい」と告げる。自分はあなたと同じ経験をしたけれど、病院をやめてもいいとは一度も思わなかったと。

和樹は、花火をする美緒の姿を撮りつづけていた。しかし、ライトもなく、ただ撮り続ける和樹に不審さを感じた美緒は、「何、たくらんでるの?」と和樹に問う。和樹は勇気を出して、秋生のことは諦めろと言った。そして、「患者とつきあうなら病院をやめろ」と言われたらしいことを話した。それを聞いた美緒は秋生のことを「人に言わせるなんてだらしない」と悪態をつく。しかし、和樹は、秋生は病院を辞めることになっても別れないと言ったが、自分が、「もう、会ってはいけないと思った」と告白する。
そんな和樹に、美緒は「言ってることが違うじゃん。恋はすごいもんだって教えてくれるんじゃなかったの?」と問う。そして、最初からロスに帰ったら、秋生には連絡しないつもりだったと打ち明ける。だからこそ、日本にいるあと数日で、秋生のことをいっぱい好きになりたかったと。そして、「恋はすげえもんだって思えたから。なのに、なんで肝心なところでぶちこわすのよ!」と泣き叫び、「なんで写真撮んないの? もう二度とお兄ちゃんのモデルやらないから、びっくりするぐらいいい写真撮れ!」という。大粒の涙を流す美緒を和樹はいつまでも撮り続けていた。

翌朝早く、美緒は病院に行って、秋生に会い、「日曜日のことなんだけど、行きたいとこなかった。やりたいこともなかった。先生に会いたくなくなった」と告げる。「お兄さんが言ったことなら気にしなくていい。病院を辞めろといわれたらそれで――」と秋生が言うのを遮り、「それに幻滅した」と美緒は言う。秋生にとって医者はそんなに簡単に諦められるのか、自分たち患者は医者に命を預けるのだと。秋生は医者を辞めるとは言っていないと否定するが、「あんたは高木先生みたいになれない。私は注射がヘタでも、一生懸命いい先生になろうとしている先生が好きだった」と涙をこらえ、その場を去る。そして、そのまま、蓮子の部屋に行き、「お世話になりました。私、ロスへ帰ります」と宣言し、「いろいろお世話になりました」と頭を下げる。

師匠の番場(竹中直人)から、「今日が締め切りだぞ」と言われた和樹は、作品を渡そうとする。と、そこに蓮子から連絡が入った。蓮子は「2人が別れるのは私の願いだったけれど、その前に20歳の美緒の心を傷つけてしまうなんて……」と蓮子は謝る。そんな蓮子に「先生のせいじゃありません。先生は間違ってません、いつだって。美緒のことなら大丈夫です。ぼくが守ります。たった一人の妹だから」と和樹は優しく言葉をかける。そして、番場には「提出できる写真がありません。今回は諸畑(蕨野友也)を行かせてやってください 」と頭を下げた。番場は「もっとパッションを感じさせてくれ」というが、和樹はもう一度深く頭を下げ、そこを去った。

そのことを知った勝と一流は、「どうしてあんなこと言ったんだ」と和樹を責める。和樹は美緒のことを話し、自分だけニコニコ、パリに行かれないと言った。そして、「別れたのもロスに帰るのも美緒ちゃんが決めたことだ」という勝たちに、和樹は言った。「美緒は死んじゃうかもしれないんだ……」と。ロスへ帰ったら難しい手術をして、成功する確率は50%しかないのだと。勝が「だからこそ、自分の夢を適えてやらなきゃいけないんだろ!」と和樹を殴ろうとすると、美緒が帰ってきた。そして、美緒は3日後の月曜に帰るから、心おきなく仕事してくれと和樹に言った。和樹は「お兄ちゃん、まだ何もしてやってない」というが、美緒は「してもらったよ。お兄ちゃんだけでなく、メガネのストーカーにもね。でも、日本は暑いし、そろそろ帰るよ。やっぱり向こうが1番だ」と強がりを言いながらも、涙を見せてしまう。

その頃、番場は和樹がゴミ箱に捨てた作品を見ていた。それは、あの花火の夜に撮った美緒の顔だ。それを見た番場は「パッションだ……」とつぶやく。

一方、秋生は青木の元に行き、「ぼくは大学を辞めません」と宣言する。「そうか」と笑顔になった青木に、「でも、彼女とも別れません」と続けた。そんな秋生の決意の表情に、青木は何も言い返せない。

美緒は、自分の部屋に閉じこもり、秋生とやるはずだった花火を見て、彼との思い出を蘇らせ、泣き続けていた。
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キャスト
福永美緒 [age20] / 井上真央(いのうえまお)
病気療養のため、ロスにいた和樹の妹。
10年前に両親が離婚し、母親は美緒を引き取り、ロスに連れて行ったのだ。
この夏、完治のための手術を受けられることになったが、それは命にかかわる難しい手術で成功率は高くない。まだ20歳の美緒にとっては、手術はつらい選択だ。まだ恋もしたことがない美緒は、オペをする前に好きな事をしておきたい、どうせ死ぬなら思い残すことなく、なんでもしておきたいと日本にやってきたのだ。
以前はかわいらしい少女だったが、病気のために甘やかされ、今ではとても生意気でワガママな女の子になってしまった。そして、10年ぶりの兄との再会。
「美緒の願い事は、いつだってお兄ちゃんがかなえてやるよ」という昔の約束を思い出し、今まで出来なかったことを、ここぞとばかりに兄の和樹に要求する。美緒の手術のことを知っている和樹は願いを叶えるために奮闘する。美緒はステキな恋、そして最高のファースト・キスができるのか?


加納和樹 [age28] / 伊藤英明(いとうひであき)
美緒の兄。カメラマン志望だが、いまだアシスタント。
10年前に両親の離婚で別れ別れになるまでは、志高くカメラマンになる夢を持っていた。
しかし、父が新しい妻と暮らすために家を出、ひとり暮らしとなってからは、女たらしのだらしない生活を送っていた。それでも、なんとかプロになりたいと有名なカメラマンの弟子となった。が、その師匠とそりがあわず、仕事に限界を感じてもいた。
今は、仕事仲間でもあり、高校時代の部活仲間でもある、悪友の家に転がり込み、怠惰な共同生活を送っている。そこへ、妹の突然の帰国。10年振りの再会ということもあり、無理やり生活を取り繕うとする。しかし、和樹に劣らず、美緒も変わり、驚くほどのワガママ娘になっていた。こうして、ひと夏、そんな妹に翻弄されることとなる。


二階堂勝 [age30] / 阿部サダヲ(あべさだを)
和樹と同居中のスタイリスト・アシスタント。
高校時代、卓球に熱中していたが、あるきっかけがあり、ファッション界に興味を持つ。そして、無謀にもスタイリストの道へ。しかし、その才能はなかなか開花しない。今は後輩で、職場も同じところの一流の家に、和樹とともに転がり込んでいる。


進藤一流 [age28] / 劇団ひとり(げきだんひとり)
和樹と同居しているメイクアップアーティスト。こちらはアシスタントではない。
元々、親が所有していた家に一人暮らしをしていたが、高校時代からの悪友・和樹と勝が転がり込んできて、共同生活をするはめになった。家事は三人で分担するはずだったが、気がつくと、自分ひとりがやらされている……。


結城秋生 [age26] / 平岡祐太(ひらおかゆうた)
美緒の日本での担当医がいる白鷺大学付属病院の新人医師。
美緒のはじめての採血の際、「痛い!へたくそ」とののしられ、「嫌な患者だ」と思うが、どこか気になる存在で、不思議と心が通じ合うことも。その後も、何かと美緒の助けになることが多いが、ふたりとも、あえてつっけんどんな態度を取る。


斉藤はるな [age27] / 酒井若菜(さかいわかな)
銀行員で、ファッション雑誌の読者モデル。和樹のルックスに惚れていて、自分は彼と付き合っているつもりでいる。時折、お小遣いをあげたりしていたが、他に女がいることに気づき、「お金返して」と和樹の家を訪れる。そんなとき、美緒と知り合い、憎まれ口を叩きながらも何故か意気投合、人生初の親友となっていく。


番場大 [age50] / 竹中直人(たけなかなおと)
個性派の有名カメラマン。自分のスタジオを持っており、主な仕事はファッション誌のグラビア撮影。アシスタントに厳しく、衝突することも多い。和樹もその一人だったが、番場としては和樹の才能はどこか認めている。
高木蓮子[Age33] / 松雪泰子(まつゆきやすこ)

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