ダルビッシュ､1年目の成績は｢13勝7敗､防御率3.62｣!? 米での評価はいまひとつ!?

ポスティングシステム(入札制度)を利用し､米大リーグ･レンジャーズへ移籍したダルビッシュ有投手｡
ここ数年､日本人選手は満足いく成績を残せていないだけに､25歳という若さで海を渡ったダルビッシュに対する期待は大きい｡

では､米国でのダルビッシュに対する評価はどのようなものなのだろうか｡
米スポーツ専門チャンネル｢ESPN｣では､統計学で選手の能力を分析する｢セイバーメトリクス｣を用いて､具体的な成績予測を行っている｡

それによると､ダルビッシュの1年目の成績は｢13勝7敗､防御率3.62､与四球46､169奪三振｣｡
昨季のア･リーグ個人成績に照らし合わせてみると､勝利数は17位タイ､防御率は21位､奪三振数は18位タイとなる｡

さらに､その後4年間もほぼ同様の成績を残すと予測｡
日本での輝かしい実績を考えるとやや過小評価のようにも思えるが､勝敗は味方打線に依存する部分が大きい｡
それよりも注目すべきは､日本時代よりも防御率が大きく悪化している点にあると在米スポーツジャーナリストは指摘する｡

｢防御率は､レンジャーズの本拠地が打者有利であることが関係している｡『レンジャーズ･ボールパーク･イン･アーリントン』は右翼がせり出していて､昨年のパークファクター(その球場が打者と投手どちらに有利かを示す指標｡1以上は打者有利)が1.409で30球団中1位だった｣(週刊ポストより)

本拠地に関してはダルビッシュも神経質になっており､入団会見でも､
｢球場が狭いというのは不安かな｡凄くちょっと､どうなのかなと｡1月に(球場に)来た時に右中間のブルペンをもっと削って､(フェンスを)奥にしてくれというふうにGMに言ったんですけど､それが通るかどうか｣(スポニチアネックスより)
とコメント｡
また､同球場は気候の影響で空気が乾燥しており､打球の飛距離が出やすくなっている｡
昨季､232回を投げ被本塁打わずか5本だったダルビッシュとはいえ､細心の注意が必要となるだろう｡

さらに､前出の在米スポーツジャーナリストは奪三振数の減少にも注目している｡

｢奪三振については､MLBのボールとの相性が心配されている｡日本が昨季から統一球を導入したとはいえ､縫い目､大きさ､革の質感などはMLBの使用球とは違う｡
変化球主体で組み立てるダルビッシュは苦労するのではないかと考えられています｣(週刊ポストより)

メジャーのボールは日本のものに比べ｢すべりやすい｣｢縫い目が高い｣などと言われる｡
こうしたボールの特性はフォークやチェンジアップなどの縦に落ちる変化球には有効だが､ひねりを加えるカーブやスライダーには向いていない｡
多彩な変化球を操るダルビッシュだが､決め球にはスライダーを選択することが多いだけに､1日でも早くボールの扱いに慣れる必要がありそうだ｡

札幌ドームで行われた退団会見で､
｢世界中の誰からもナンバーワンはダルビッシュといわれるような投手になりたい｣(スポニチアネックスより)
と宣言したダルビッシュ｡
打者有利の本拠地､新たなボールへの対応などを克服したとき､目標とする"世界一の投手"にグッと近付くはずだ｡

(2012年2月5日)

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