Q10(キュート)
[第1話]
深井平太(佐藤健)は、今どきの高校三年年。いつも“流されるように”毎日を過ごしていた。そんなある日、理科準備室の隅で“白い服を着た女の子”を発見する。眠っているように動かない女の子に、平太は子供の頃の思い出から、彼女の口に手を入れて歯に触れると…女の子が突然目を覚ました!10/16放送
「15秒以内に名前を付けてください」という音声に、平太はとっさに「キュート」と名前を付ける。こうして彼女は「Q10(キュート)」(前田敦子)という名前になった。
この女の子は、高校の校長・岸本(小野武彦)が、昨晩、泥酔状態のなか、繁華街のゴミ箱で見つけ、運んできたものだった。翌朝、女の子が息をしていないことに驚いた岸本は、平太の担任・小川先生(田中裕二)に相談し、学校の理科準備室に隠しておいたのだった。
たまたまその場にいた工学博士・柳栗子(薬師丸ひろ子)は、彼女をロボットだと見抜いた。しかし、どう見ても人間にしか見ない「Q10(キュート)」。岸本校長は、校長・柳博士・小川先生・平太だけの「4人の秘密」と口止めする。さらにロボットを起動させた平太にQ10のお世話役を押し付けるのだった。
こうして平太はQ10の世話をすることになる。平太はQ10に学校で生活をするうえでのルールを教える。それは「目立たず平凡にやり過ごすのが一番」だから…。しかしQ10 には理解できていないようだった。
ある日、平太は、校長室に忍び込み、校長の椅子の背を切りつける生徒・藤丘誠を目撃する。誠の家庭は貧しく、学費が払えないために生徒の名簿から消されているらしいのだ。当然、誠が出席していても、出席を確認するときに“藤丘誠”の名前だけ呼ばれない…。Q10は
なぜ藤丘の名前だけ呼ばれないのか不思議だった。
「消えてしまいたい。俺なんて初めから居なければ良かったんだよ」そんな藤丘に平太は何も言ってあげられなかった。
そんなとき、Q10は言った。「人間には“リセットボタン”がありません。だから人間は助けを呼ぶのですね。“大声で叫べば必ず助けてくれる”。それが人間のルールです」と…。その言葉を聞いた平太は胸を打たれる。そして平太と藤丘とQ10は校庭から学校に向かって叫び続けた。「助けてください!誰か助けてください!」と。するとクラスメートが駆けつけてくれた。そして、みんなで校庭に机を並べて、大きな“SOS”の文字も描いた…。
昔、心臓が悪かった平太が心臓の手術で入院していたとき、同級生の久保が入院することになった。隣同士のベッドでお互いの悩みを打ち明ける。“治るか解らない病気のこと”“手術の繰り返しで不安なこと”“だんだん親が疲れてくること”など…。これらの悩みを二人は“全部自分のせいだ”と思っていた。そして、どうすることもできない悩みのなかで二人が考えたのは「世界が滅亡すればいい」ということだった。
当時、町にある鉄塔の麓に願い事を埋めると“願いが叶う”という言い伝えがあった。そこで平太と久保は「世界が滅亡するように」と書いた紙を町の鉄塔の麓に埋めた。
Q10が平太の前に現れてから、ほんの少しずつだけど、そんな気持ちが変わろうとしていた。初めて見る“ガチャガチャ”に「カプセルが生まれた!」と素直に喜ぶQ10。そんな姿を見て、平太と久保は温かい気持ちになった。
「やっぱ、人類が滅亡するのはイヤだな。俺が死んでもこの町はずっと続いてほしい…」平太と久保は、昔、紙切れを埋めた鉄塔の麓を掘りおこしに行く。しかし年月が過ぎた今、願い事を書いた紙が残っているはずもない…。
そんななか、久保が紙切れを見つけ「ほら、生まれたよ」とQ10に手渡した。紙切れに書かれた文字を見て三人は微笑んだ。
紙切れには…「世界」という文字が残っていた。
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キャスト
深井平太 / 佐藤健(さとうたける)平凡な高校3年生。
/ 前田敦子(まえだあつこ)
/ 蓮佛美沙子(れんぶつみさこ)
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